1962年生

彫唐津窯変茶盌
 五代・蔵六を襲名して早や4年。各地での一連の襲名展がひと段落し、ようやくじっくりと腰を落ち着けての作陶機会が訪れた。前回の壺屋での個展は、襲名直前の本名・徹として最後を飾るに相応しい内容の展覧に、訪れた方々の熱気と作家本人の手応え十二分の作品が呼応し、9日間の会期があっという間に過ぎたのを、昨日のように思い出す。
 襲名後、壺屋で初めての五代・眞清水蔵六展(2017年10月開催)は「叩き」というテーマを中心とした展覧で、と前々から彼にはお願いしていた。唐津の土の特性もあり、ある程度の大きさの作品を作る時には、「叩き」という技法が唐津焼のひとつのワザとなっている。ただ、叩きを中心にとなると、その作陶には時間と手間を要すため、前回の展覧会から丸4年半の月日が流れることとなってしまった。
 今回掲載の彫唐津茶盌も、叩きの技法を取り入れた新しい取り組みで作陶された茶盌である。彫の力強さと梅花皮(かいらぎ)の大胆な表現が、窯変による片身替りの景色と相まって、非常にバランスよく仕上がっている。
 彼とは、ここ数年、陶芸論を戦わせたり、たまには酒席での話に興じたりなど、大変身近で接しさせてもらっている。陶芸家として、ひとまわりもふたまわりも大きくなっているように私には映る。4年半の歳月が作品にどう影響し、どのような表現を今展で見せてくれるのか。
 作品の後方に見える薪がなくなる頃には、きっとその答えが出ているのであろう。
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