1965年生


伊部花入

 金重巖というモノづくりと付き合い始めて20年の歳月が流れた。昨年末、彼との20年の歩みを振り返る意味も込め「20壺展」を開催した。その壺作りもひと段落し、堰を切ったように作りに作ったうつわたちといつもの和室で対面したのが、今年の正月明けだった。悲しいかな、当ギャラリーのキャパシティに納まり切れないそのうつわたちを、今回初めて春・秋と2回に分けてご覧いただくことにした。
 会も重ねて第26回となった今年の春の頒布会。灰釉と鉄絵の皿と小鉢を中心にご覧いただいた。そして、今回ご紹介する27回目となる秋の頒布会。伊部の徳利花入と、織部と粉引の向付を中心にご覧いただこうと思っている。
 この20年で27回目の開催を迎える頒布会。扱わせていただいたうつわたちも2000組を優に超えた。ひとつひとつ嫁いでいったうつわたちに思いを馳せ改めて振り返ると、そのひとつひとつに賭ける金重巖というものづくりの情熱の熱量が、私をここまで歩ませてくれたように感じる。
 頒布会という形で歩み始める時、彼と50回開催しようと夢を語り合った。まさか20年で折り返しまでこようとは、夢にも思っていなかった。残り半年を切った今年が、どんな年になるのかなんて私にはわからない。そして来年以降どんな国の姿になっていくのか、昨今の天変地異を目の当たりにすると、それこそまったく見えてこない。
 ただ、金重巖というものづくりと歩んでいると、無から有を生み出す作業そのものが実直なら、それは人の心を打ち、人の営みに寄り添い、前を向かせ生きるチカラになるのだと感じずにはおれない。
 そんな彼が紡ぎ出したうつわたちと、この秋も皆様のお越しをこころよりお待ちしています。
  作家一覧にもどる  これまでの掲載作品
※ 当サイトに掲載の写真・テキスト等の無断転載を禁じます。